ボタンのなんとなく美術史

画家の人生や作品についてつれづれなるままに。読むとちょっと美術の歴史にくわしくなれるブログを目指します。

理瀬シリーズ新刊出た!薔薇のなかの蛇 装画は北見隆

こんにちは、ボタンです。

 

この5月に恩田陸の理瀬シリーズ(三月シリーズ)の新刊が出ました!

 

タイトルは『薔薇のなかの蛇』

大学生の頃に友人に薦められて読んで以来、大好きなシリーズです。

 

美術史のブログなのに唐突に小説の紹介を始めてしまいますが、それくらい嬉しい。

 

装填・装画・挿画は安定の北見隆

 

このシリーズは北見先生の絵の雰囲気と小説の世界観とのマッチもとても素敵なのです。

 

それではまず、理瀬シリーズの紹介から始めてみたいと思います。

 

 

その1 理瀬シリーズの始まり

 

理瀬シリーズの第一作は1997年に刊行された『三月は深き紅の淵を』です。

 

『三月は深き紅の淵を』という謎めいた本をめぐる四つの短編が収録されています。

 

しかし、語られるストーリーは四つでは足りません。

 

この小説には、外側の物語内側の物語があるのです。

 

まず、私たちが実際に手に取ることのできる1997年刊行の『三月は深き紅の淵を』が外側の物語。

 

そして、作中に出てくる本『三月は深き紅の淵を』の内容が内側の物語です。

 

メモがてら、外側と内側の物語の章立てを書いてみたいと思います。

 

外側

第一章 待っている人々

第二章 出雲夜想曲

第三章 虹と雲と鳥と

第四章 回転木馬

 

内側

第一部 黒と茶の幻想 風の話

第二部 冬の湖 夜の話

第三部 アイネ・クライネ・ナハトムジーク 血の話

第四部 鳩笛 時の話

 

この『三月は深き紅の淵を』から、

 

『麦の海に沈む果実』

黒と茶の幻想

『黄昏の百合の骨』

 

とシリーズが続いていきます。

(他にも短編がいくつかあります)

 

 

このシリーズ、『麦の海に沈む果実』―『黄昏の百合の骨』ははっきり続き物といってよいと思うのですが、他は『続き物』というよりは緩やかにつながりを持つ独立した小説といった方が分かりやすいかもしれません。

 

ただ、内側の『三月は深き紅の淵を』第一部と、理瀬シリーズの『黒と茶の幻想』のタイトルが同じであるように、各小説を読んでいると、もしかして私は『三月は深き紅の淵を』の内側を読んでいるのか……?と思ってみたり。

 

内側の第三部と『麦の海に沈む果実』も登場人物の名前が同じだったり、印象が似てたりするのですが、でも設定は明らかに違う。

 

重なるようで重ならない部分にますます想像力を掻き立てられるのです。

 

 

その2 読む順番について

 

『黄昏の百合の骨』については絶対に『麦の海に沈む果実』読後の方が良いと思うのですが、それ以外についてはどこから読まないとだめということはないと思います。

 

私はオーソドックスに刊行順に読んでいます。

 

でも『黒と茶の幻想』読んだ後に『三月は深き紅の淵を』を読んでもそれはそれで面白かったんじゃないかと思ってみたり。

 

ただ、このシリーズを読むにあたって『三月は深き紅の淵を』は外せないと思います。

 

正直、『麦の海……』も『黒と茶……』も『黄昏の……』も『三月は深き紅の淵を』なしでちゃんと物語として読めてしまうんです。

 

でもこれを読むのと読まないのでは世界観の広がりがまるで違うのです。

 

 

その3 理瀬って誰?

 

このシリーズには、水野理瀬という少女が登場します。

 

理瀬がはっきり主人公だといえるのは『麦の海に沈む果実』と『黄昏の百合の骨』です。

 

『三月は深き紅の淵を』では第四章で登場。

 

黒と茶の幻想』では名前すら出てきません。

 

でも、その『黒と茶……』にすら、理瀬の気配がうっすらと漂っています。

 

あくまで一読者の一見解にすぎないのですが……。

 

このシリーズには『理瀬シリーズ』という呼び方の他に、『三月シリーズ』という呼び方もあります。

 

同じシリーズを指した言葉ではありますが、私はこの二つの呼び方それぞれに違うニュアンスを込めたくなります。

 

『理瀬シリーズ』といったときに蜘蛛の巣の中央にあるのが『麦の海に沈む果実』

 

『三月シリーズ』といったときに蜘蛛の巣の中央にあるのが『三月は深き紅の淵を』

 

どちらのスタンスで読むかによって読後感も変わってくるのではないでしょうか。

 

 

その4 装画を手掛ける北見隆について

 

私が北見隆を知ったきっかけは、このシリーズでした。

 

1952年東京生まれの作家さんです。

 

等身がくるった、どこか木彫り人形めいた人間の描き方をする方です。

 

奇妙なモチーフがたくさん出てきてそれも楽しい。

 

いや、モチーフ自体は奇妙でなくとも、北見隆の世界観に取り込まれるとたちまち奇妙なニュアンスを帯び始めるのです。

 

勿論、理瀬シリーズの装画などについては、本の内容に沿ったものが描かれているのですが、小説の世界観との相乗効果がすごい。

 

本屋でたまたま『本の国のアリス』という北見先生の作品集を発見して思わず買ってしまったのですが、こちらもアリスの世界観と北見隆の世界観の相乗効果がすごい。

(語彙力がなくてすみません。)

 

ひっそりと小川洋子の小説の装画やってくださらないかしら……とか思ってます。

 

 

その5 まとめ

 

新刊の『薔薇のなかの蛇』、買ったはいいもののまだ読めていません。

 

一気に、それもできれば次の日が休日の夜に読みたくて、机の上にあるのを眺めています。

 

この新作によって理瀬シリーズ(三月シリーズ)の世界観がどう変貌をとげていくのかいかないのか、期待と怖さが半分という感じです。

 

ミステリが好き、ファンタジーや学園ものが好きという方には本当におすすめのシリーズなので、ご興味のある方はぜひお手に取られてください。

 

北見隆の装画もたっぷりです。

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!